『自己肯定感を高めたくて、とにかくほめるようにしているんです。でも、なんだかうまくいかなくて…』
そんな保護者の声を、よく耳にします。
「自己肯定感を育むことが大事」「ほめて伸ばす」といった考え方が広まる一方で、「ほめてればいいんでしょ?」という表面的な理解が一人歩きしている現状があります。
実は…その「ほめる至上主義」こそが、親子関係を窮屈にしている原因かもしれません。
「ほめて伸ばす」が招く保護者の3つの困りごと
「ほめることが大事」という情報が先行すると、多くの保護者は「叱ってはいけない」という思い込みに陥ります。
私が出会った保護者の中には、こどもが他の子を叩いても「ダメ」と言えずに困り果てている方がいました。
「叱ると自己肯定感が下がってしまう…」という不安から、ダメなものをダメと言えなくなってしまうのです。
また、具体的に何をほめればいいのかわからず困っている方も多くいます。
特に発達に凸凹のあるお子さんの場合、苦手なことも多いため、ほめるポイントが見落とされがち。
結果として、親子の会話が「ほめる場面」を探すためのものになってしまい、こども自身も「ほめられることをしなければ…」と考えてしまいます。
こどもに現れる「ほめ依存」の弊害
「すごいね」「上手だね」という言葉を繰り返し受けると、こどもは「すごくなければいけない」「上手でなければいけない」というプレッシャーを感じるようになります。
「ほめられるために頑張る」状態になったこどもは、実は非常に不安定です。
他者からの評価に依存し、自分で自分の価値を感じることが難しくなってしまいます。
「ほめられる自分」でいなければならないと感じると、失敗や困りごとを隠そうとして余計に苦しくなってしまうのです。
まとめ:問題の本質を見つめ直そう
「ほめて伸ばす」は、確かに大切な考え方です。
しかし、「とにかくほめればいい」という表面的な理解では、かえって親子関係を窮屈にしてしまいます。
真の自己肯定感とは、他者からのほめ言葉によって育まれるものではありません。
後編では、自己肯定感の本質と、こどもの内側から育つ力を支える具体的な関わり方について、私の現場経験をもとにお伝えします。