指差しがあるお子さんのためのことばを引き出すヒント

発達支援(療育)の分野に長く携わってきました、臨床発達心理士の渡辺しおりと申します。

お子さんが指差しをするようになり、単語も少しずつ出始めたものの、そこからなかなか単語が増えず、「もっと話せるようにしてあげたい」と悩む保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

指差しが出ているということは、「他者と何かを共有しようとする・または共有できる土台」ができてきているということを意味しています。

今回は、そのようなお子さんのために、ことばを引き出す関わり方を3つご紹介します。

指差しに「共感」して応える

お子さんがミニカーを指差ししていたら、「車で遊びたいんだね」と声をかける。

転んで膝を指差ししていたら、「痛かったね、いたいのいたいの飛んでいけ」と気持ちを受け止める。

こうした声かけは、“(自分の気持ちが)伝わったんだ”という安心感をお子さんに与えます。

これが“もっと伝えたい”という気持ちを育て、ことばを引き出すきっかけになります。

選ぶ楽しさを体験させる

指差しや、いくつかの単語が出てきたら、「クッキーとおせんべい、どっちが食べたい?」「ぬいぐるみと積み木、どっちで遊ぶ?」など、選べる場面を作ってあげましょう。

お子さんが指差しや声、ことばで伝えられた際には、「クッキーが食べたいんだね」「積み木で遊びたいんだね」と応えてみてください。

自分で選んで伝えられた喜びが、お子さんの“もっと話したい”という気持ちに繋がります。

お子さんが夢中になる遊びを一緒に楽しむ

お子さんが分かりやすく楽しめる遊び、たとえばシャボン玉遊びや手遊び歌、トランポリン、新聞紙遊び、くすぐり遊びなどを取り入れてみましょう。

遊びの中で「シャボン玉飛んだね」「(お子さんが指を立てている時に)もう一回やって」などのことばを添えてあげると、自然にことばを引き出すきっかけになります。

まとめ

大事なのは、お子さんと一緒に楽しむこと。

キャッキャと笑い合う体験そのものが、ことばの土台になります。

お子さんによって、得意なことや好きなことはさまざまです。

焦らず、日常生活の中で“伝えたい気持ち”を引き出す関わりや遊びを大切にしましょう。